長沢智 「マリア様がみてる」 第8巻を読んだ。今野緒雪原作 「いとしき歳月(後編)」 収録の 「will」 と 「いつしか年も」 をコミック化。
コレ、ヤバイ。本書を読んでいる最中、まるで魔法に掛かったような幸福感を堪能できた。今まで、コミック版は第3巻が個人的に最高傑作かと思ってたけど、この第8巻はそれを上回るかも。
「will」 と 「いつしか年も」 は、既に原作小説で読み、アニメを観て、ドラマCDも聴いている。ストーリーも台詞も何もかも分かり切っているのだが、このコミック版を読んで予想以上に感情を揺り動かされた。
「このエピソードって、こんなにオモロかったっけ? こんなに切なかったっけ?」 と驚かされ、新鮮な気持ちで楽しめた。原作のエッセンスをバランスよく掬い取り、マンガに昇華させた長沢先生の手腕に感服。
「will」 の 「明日になったら もう二度と こんな風に じゃれ合えないんだ」 のシーンは、アニメ版やドラマCD版を遥かに上回る切なさ。特に、窓から差し込む光を背に笑顔でたたずむ聖のコマが秀逸。胸が締め付けられるような気持ちになり、素直に祐巳ちゃんに感情移入できた。って自分で書いててちとキモイけど。
その後、聖との別れ際に 「自惚れてますね」 と言い返しつつ 「ベー」 してる祐巳ちゃんが妙にカワユス。
「いつしか年も」 では、聖と江利子の幼稚舎時代の回想シーンがあるのだが、幼少時の二人がカワユス。個人的に、終始不機嫌そうな表情の聖がツボ。その後、中等部の頃の二人がすれ違い際に 「イーダ!」 してるコマが何気に好きなんだけど。
送辞のシーンも秀逸。答辞を控えているために号泣したらマズイという蓉子の葛藤ぶりが、アニメ版よりも感じられたように思う。
本書を読んであらためて、蓉子、江利子、聖の三人の関係が自分にとって好ましく、非常に得がたいキャラクターなのだなあと感じた。「卒業しないでくれ!」 と思ったのは俺だけではないだろう。
惜しいのは、これがコミック版の最終巻だということ。「卒業」ということで有終の美を飾るに相応しいエピソードなのだが、原作はまだ続いているので、出来ればもっと長沢先生の手による「マリみて」を読みたかったというのが正直なところ。長沢智先生、お疲れ様でした。